1月19日は「食育の日」。家族で食育の知識を深めるには、いい機会といえそうだ。そこで、SAKANA & JAPAN PROJECTでは、伝統的な和食を用いた小学生向けの食育専門家・井上憲子さんに、家庭の食卓から考える『魚食育』について話を伺った。
「魚全般に言えることは、私たちが生きていく上で必要な9種類の必須アミノ酸をバランス良く含む良質なたんぱく質も含まれているということです。たんぱく質は育ち盛りのお子さんの身体を作っていくうえでとても大切です。
また青背の魚に豊富に含まれるDHAは脳の構成成分で脳や神経組織の発育に必須の栄養成分。脳の神経細胞を活性化して情報の伝達をスムーズにし、学習能力や記憶力を高める効果があるそうです。
集中力を高めたり、精神を安定させたりする作用もあることが分かってきていますので、お子さんの食生活には積極的に取り入れたいものです。同じく青魚に含まれるEPAには血液をサラサラにし、血管をしなやかにする効果、アレルギー症状の予防にも効果があると言われており、多種多様な栄養素をバランスよく含む魚は優秀な栄養源です」
調理一例:オールシーズン手に入りやすい鯵
井上憲子さんは現在、出張料理サービス「シェアダイン」で出張料理人としても活動中。今月からSAKANA & JAPAN PROJECTとコラボした新プラン『家庭でさばく!お魚食育プラン』も担当している。そこで、食・食育の専門家だからこそ提供できる「魚食体験の価値」を伺った。
これまで何度か小学校で食に関する授業を行ってきましたが、お子さんは自分が体験することで興味を持ってくれるケースが多かったので、実際に一緒に魚をおろす(包丁で、ということが難しければイワシの手開きなど)という機会を設けても良いのではないかと思っています。
また一つの魚をテーマにして、(例えば前菜、主菜、汁物のすべてに鯵を使うというような)「○○つくし」の料理教室もできれば、魚料理に興味を持つきっかけになるかもしれません。出張料理サービスや料理教室で、実際に目で見て体験してもらうことで魚料理の魅力や魚嫌い克服のヒントを見つけて欲しいと思います。
お子さんにとっては「苦手だったお魚が食べられた!」という小さな自信が生まれれば、親子にとっては嬉しい記憶になるもの。今回の新プランでは、そんな楽しい食のワンシーンをご提供していきます。ただ魚を食べるのではなく「魚を知って」食べる、「魚のいのちをいただく」ということを体験していただけると考えています。
「家族での食」を考えるときには単なる身体の栄養のことだけではなく、家族そろって楽しくおいしく食べることが心を豊かにはぐくむ「心の栄養」になるということも忘れないでいただきたいと思います」。
目の前でさばかれていく魚に興味津々の子ども。右は料理家の井上憲子さん