魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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2020年10月9日
#003

カツオ節 削ってつながる親子の絆今度の休みは西伊豆へ!「西伊豆に行きたいね」子供の興味と家族の絆を引き出すカツオ節削り体験

真剣なまなざしでカツオ節削りにチャレンジする参加者の内田真琴さん

オンライン料理教室でカツオ節を削り、笑顔を見せる参加者

静岡県西伊豆町-

美しい夕陽と、伊豆半島の豊かな自然、そして何より美味しい魚介類が楽しめる、人口7500人ほどの小さな町だ。

今回、産経新聞が魚食活性化を目的に行っている「SAKANA & JAPAN PROJECT」の“パパさかな大使”と、西伊豆町のコラボレーションが実現。パパさかな大使代表である、滝村雅晴さんが、同町の名産であるしおかつおやカツオ節を使った料理をパパと子で作るオンライン料理教室を開催し、西伊豆のあふれる魅力を伝えた。

削りたてのカツオ節を「日常的に」

三島駅(静岡県三島市)から伊豆箱根鉄道に乗り換え修善寺へ。東海バスに乗り換え西に駿河湾を眺めていると、“夕陽の町”西伊豆町(同県)に到着した。

ここを訪れたのは、パパさかな大使のコラボレーション企画「カツオがツナぐ」プロジェクトが始まるから。パパさかな大使代表およびカツオ節大好きオヤジ代表としてやってきた。パパさかな大使は、魚食活性化を目的とした産経新聞社の「SAKANA & JAPAN PROJECT」の一環として実施している、父親を魚食推進の担い手に任命する取り組みだ。

「カツオ節など西伊豆の海の幸の魅力を通して、子供の食育につなげていきたい」と、案内役をしてくれた同町まちづくり課の松浦城太郎さんは言う。朝一番に定置網で取れた地魚を活魚のまま販売する「はんばた市場」に勤務している。2女のパパでもある。

最初に訪れたのは、日本のだしの起源ともいわれるカツオを塩漬けにして乾燥させた「しおかつお」を作り続けている「カネサ鰹節(かつおぶし)商店」。カツオ節を作り続けて百数十余年。伝統の「伊豆田子節」の作り方を見学するため、製造現場に足を運んだ。

冷凍で届いたカツオは、水槽で自然解凍された後、機械で頭を切断される。職人の手で内臓が取り出され、ひれが切り落とされ、三枚おろしに。包丁を持った男女の職人たちが慣れた手つきで次々にさばいていく。かごに丁寧に並べられ、90度で90分ゆでるまでの工程が1日作業。さらに重要な乾燥などの工程に半年ほどかけて出来上がる。

同商店5代目の芹沢安久さんは「削りたてのカツオ節を日常的に使ってもらいたい」と話す。カツオ節はごはんと相性が抜群。たっぷりかけて卵かけごはんにする。出来合いの料理にかけるだけでも、ハンバーグの生地にちょい足しして練りこんでもいい。削りたてが本来の味であり風味。職人さんたちが受け継いできた製法で作られたカツオ節本来の味は、削りたてでしか味わえないのだ。

カツオ節の正しい削り方を教えてもらい、きれいでおいしいカツオ節を使ってみたら、簡単に絶品料理ができた。

地元の人とつながることで西伊豆にまた来て食べたくなる。パパ友たちと西伊豆に行き、カツオ節料理を味わいながら、乾杯したい。もちろん“夕陽”を見ながら。

うま味たっぷり 究極3品

今年5月に静岡県西伊豆町においしい観光スポットが誕生した。「西伊豆堂ヶ島産地直売所はんばた市場」だ。その日に定置網で取れた活魚が店に届くと、その場で仕分けられ、店内の水槽に移される。どんな魚が買えるかはその日のお楽しみ。スーパーの魚売り場に出回らない魚に出合えるのも魅力。生産者の顔が見える取れたての野菜や果物もずらりと並ぶ。

同町とパパさかな大使のコラボレーション企画「カツオがツナぐ」プロジェクトでは、オンライン親子料理教室を実施することにしており、そのメニューを同町まちづくり課の松浦城太郎さんと、同市場で買える食材を中心に考えた。

同町名産のカツオ節の魅力を伝えるには、削りたてを味わってもらうこと。おいしく食べる方法は、地元の人に聞くことが一番。松浦さんに、カツオ節の削り方から教わった。

カツオ節は、背側を雄節、腹側を雌節という。削るのは頭側から。カツオ節削り器の上にのせて、体重をかけ、角度を変えずに押すようにして削る。最初は削る面がない。少しずつ押して削ることで面が育ち、花カツオのように大きな削り節になるのだ。松浦さんは慣れた手つきで削る。

最初に作った品は「カツオ節たっぷり卵かけごはん」。黄身が埋もれるぐらいフワフワなカツオ節をかけ、同町名産の「田子節醤油」をたらして味わった。鼻と口がカツオ節の香りでいっぱいになる。ごはんとの相性抜群。いつまでも口の中で味わっていたい。

2品目は「しおかつおチャーハン」。カツオを塩漬けにして乾燥させた「しおかつお」を小さく刻んで調味料代わりにし、ごはんと卵、ネギと一緒に手早く炒める。仕上げにカツオ節をかける。カツオのうま味をたっぷり味わえるチャーハンは絶品。

最後は「しおかつおカプレーゼ」。刻んだしおかつおとモッツァレラチーズ、トマト、青じそをあえてレモンを絞るだけ。ワインが飲みたくなる。

オンライン料理教室で一緒に作る親子の「西伊豆に行きたいね」の声が聞こえる料理が完成した。

親子でカツオ節削り 思い出の1ページ

カツオ節を削ったそばから、子供たちが食べてなくなってしまった-。静岡県西伊豆町とパパさかな大使のコラボレーション企画「カツオがツナぐ」プロジェクトの一環として開かれたオンライン料理教室には、6組の親子が参加し、大いに盛り上がった。料理教室は同町特産のカツオ節のおいしさを伝え、食育につなげることが目的だ。

参加者には事前に本枯節とカツオ節削り器、そして今では同町でしか作られていない、カツオ節の起源ともいわれる、塩蔵品「しおかつお」を届けた。

作るメニューは、削りカツオたっぷり卵かけごはん、カツオ節いれっぱなしみそ汁、しおかつおカプレーゼ、しおかつおチャーハンの4品。西伊豆町まちづくり課の松浦城太郎さんが、西伊豆産地直売所「はんばた市場」からオンライン参加。いけすで泳ぐその日に取れた活魚や店の前に広がる海をスマートフォンのカメラで写し、西伊豆町の魅力やカツオ節の作り方を紹介してくれた。

本枯節の削り方を松浦さんが実演する。乾いた布で欠けている頭側に付いた麹菌を拭き、カツオ節に体重をかけ、45度ぐらいの角度で頭側から押すようにして削る。分かりやすくポイントを伝えながら、大きなヒラヒラと揺れる削り節にする松浦さん。参加した親子が、自宅のキッチンでパソコンやスマホの画面を見ながら、カツオ節を削る。調味料代わりに使うしおかつおを刻み、4品を作った。

「本物のおいしさは、おなかと心を豊かに満たすということを改めて実感した。しおかつおチャーハンは、何とも言えないうま味が詰まっていて最高でした。西伊豆へ行きたくなり、アクセスを調べた」と、長野県から参加した内田真澄さん。高山陽介さんは「子供の頃、実家で祖父と一緒に削ったのを思い出して、懐かしい気持ちになった」と語ってくれた。

香りや味は、人生の思い出につながる。親子でカツオ節を削って料理を作った思い出ができたに違いない。次は、松浦さんに会いに行き、はんばた市場で、取れたての魚をさばいてもらい、西伊豆の海の幸を味わいに行ってもらいたい。夕陽と潮の香りが、親子にとって忘れられない思い出をまた一つ増やすはずだ。

2020年9月時点

提供:静岡県西伊豆町役場