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2019年11月13日
JFFES情報#007

全国魚市場&魚河岸まつり14日開幕 震災や台風、再起の思い込め

2メートルの濁流で床上浸水し壊滅的な被害を受けた中華料理店「華正樓」の店内で再起を誓う吉野康平さん=福島県いわき市

福島の料理人が「さんまのポーポー焼き小籠包」考案

台風19号の上陸から12日で1カ月。店舗が床上浸水し営業できなくなった福島県いわき市の中華料理店が、同市の郷土料理をアレンジした新商品「さんまのポーポー焼き小籠包」を考案した。14~17日に千代田区の日比谷公園で開催する第5回「ジャパン フィッシャーマンズ フェスティバル2019~全国魚市場&魚河岸まつり~」で販売する。同市は東日本大震災でも大きな被害を受けており、小籠包には、台風と震災からの再起への思いも込められている。

「さんまのポーポー焼き小籠包」は、東日本大震災からの復興支援を目的に産経新聞社が立ち上げた「ふくしま『常磐もの』を食べようプロジェクト」の一環として開発された。

「父が店を開いてから37年間、この地でやってきた。多くの人が復旧の手伝いに来てくれたことで、地元でどれほど愛されてきたのか改めて気づかされた。一日も早く再開したい」。同市の中華料理店「華正樓」の吉野康平さん(39)は力を込めた。

先月12日未明から13日にかけて東日本を直撃した台風19号による大雨で、すぐ裏を流れる夏井川が氾濫し、店舗は2メートル近い濁流にのみ込まれた。水が引いた翌日、店にたどり着くと、大型の業務用冷蔵庫が横倒しになって流されるなど、1階の厨房(ちゅうぼう)と客席は壊滅状態だった。

被害の大きさを目の当たりにし、「移転も考えた」という。しかし、がれきの撤去に駆け付けた地元の常連客たちの励ましを受け、店を全面リニューアルすることを決断。これを機に父親から代表を引き継ぐ。

台風前夜、吉野さんは震災と原発事故の影響で消費が落ち込んでいる福島県産の水産物を使った新商品の試作に取り組んでいた。

親潮と黒潮がぶつかる福島県沖で取れた魚介類は「常磐もの」と呼ばれ、市場で高く評価されてきた。新商品のベースとなった「さんまのポーポー焼き」は、サンマのすり身にみそと薬味を混ぜて丸めて焼いた同市の小名浜が発祥の郷土料理だ。

台風の後片付けが一段落した後、共同開発した同市の水産加工会社「上野台豊商店」の工場でレシピを完成させ、製品化にこぎ着けた。同社の代表、上野台優さん(43)は「復興には消費者に選んでもらえる本当においしいものを作って、必死で伝えていくしかない」と語った。

(2019年11月13日)

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