イトヨリのすり身を焼いて作った焼きかまぼこ
紅白に彩られたかまぼこ。正月に食べられた方も多いのでは。昨年末に、かまぼこで食育を推進するオンライン料理教室を、鳥取県境港市にあるモリイ食品さんと行った。かまぼこの原料となるすり身が参加者の自宅に届き、それを調理してかまぼこを作るのだ。当日は、蒸さずに、焼いてかまぼこを作った。形をハート形にしたり、枝豆やコーンを混ぜたりして自由に焼きかまぼこを作った。程よく焼き色がついたアツアツ出来たてのかまぼこのおいしいこと。
魚のすり身を加熱するだけで、こんなに弾力あるかまぼこになるのだと、不思議に思っていると、モリイ食品の森井哲太郎さん(36)が、その秘密を教えてくれた。かまぼこなど練り物の独特の食感で大切なのが弾力。この弾力はタンパク質の絡み合いから生まれるとのこと。魚肉に塩を加えてすりつぶすことで、タンパク質が溶け出して複雑に絡み合い、熱を加えることで崩れずに弾力を持つようになるとか。かまぼこを作るには、すり身に使う魚も大事だが、弾力あるかまぼこにするために塩も同じぐらい重要な素材なのだ。
ちなみに、かまぼこのすり身は、一般的にスケトウダラが使われることが多いが、黒っぽい皮が残る。そこで、モリイ食品では白くきれいに仕上げるために、食味もいいイトヨリを使っている。
かまぼこやさつま揚げなど練り物を使って作ってほしい料理が「かまぼこ入り卵とじ丼」だ。親子丼の鶏の代わりにかまぼこを使って作るイメージ。ちょうどいい塩味と食感で、なかなかのごちそうになる。弾力を楽しみながら食べてほしい。
パパ料理研究家。昭和46年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。