魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!

2019年2月15日
Column #024

旬の味「初物」は
縁起も良し

みなさんは「初物七十五日」という言葉を知っていますか?昔から初物は縁起が良く、食べると寿命が75日延びるといわれてきました。旬の走り、最初に出まわるもののことを言います。また好んで初物を食べることや新たな物事にすすんで手を出すことを「初物食い」といいます。

寿命が延びる理由としては、中国の五行思想・五行説に基づいた季節の区切り方のほか、種をまいてから収穫までの日数がおよそ75日であることからきているなど諸説があるそうです。別の言葉で、「人の噂も七十五日」というものもあります。噂話というものはそう長く続かないというような意味ですが、ひとつの区切りとして75日という日数が昔から使われてきたことが分かります。

年始の1月5日には昨年10月に築地から移転した豊洲市場で、初めて迎えた新春の「初競り」がありました。お正月の初物、移転してから初の初物、さらに平成最後の初物ということで、いつも以上に注目され、青森県・大間産の278キロの本マグロが史上最高値の3億3360万円(1キロ単価も史上最高の120万円)で落札されて大いに話題になりました。落札したのは有名なおすし屋さんで、一貫当たりにすると10万円にもなるそうです。そうまでしても手に入れたいのは、やはり縁起の良い初物だからです。

当然のことながら、旬を知っていなければ初物を手に入れることはできません。昔は「初物四天王」と呼ばれていた食材があります。1つ目は「鰹(かつお)」、2つ目は「鮭(さけ)」、3つ目は「松茸(まつたけ)」、4つ目が「茄子(なす)」です。茄子は「一富士二鷹三なすび」のことわざから、昔の人にとっては非常に縁起の良い食べ物だったことが分かります。季節ごとの初物のおいしい魚は、日本ならではの味覚です。皆さんもぜひ旬を知って、おいしくて縁起の良い初物の魚を味わってください。

東京・豊洲市場の「初競り」で、史上最高値で落札されたマグロ(宮崎瑞穂撮影)

浜田 峰子
はまだ・みねこ

食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。

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