魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!

2018年3月30日
Column #013

魚食普及
小中高で「継続」を

平昌オリンピック・パラリンピックでは、10代から20代の若い世代を中心に日本選手の活躍がめざましいものでした。興奮冷めやらぬころ、大日本水産会の魚食普及交流会において「オリンピックに学ぶ魚食普及と次世代育成」というタイトルで講演をさせていただきました。

オリンピックに出場する選手は、その競技人口の中のピラミッドの頂点にいる人たちです。ピラミッドの裾野が広がれば、頂点の選手もその分多く輩出されます。日本選手が世界のトップクラスで戦えるのは、明日のスポーツ文化を育てるために、広く普及させる基盤作りと、継続的に実践するための環境整備がなされてきたからです。魚食普及と次世代育成についても、この「普及」と「継続」の2つから大いに学ぶ点があると考えます。

これまでの魚食普及活動の大半は、小学生向けに行われています。主催者としては「三つ子の魂百までも」を過信して、子供の頃に魚食体験授業をやっておけばあとは大丈夫とつい思いがちです。しかし、実際には中学、高校と部活や受験など忙しく過ごしている間に子供はすっかり魚食から遠のいてしまいます。

魚食普及が目指すピラミッドとは、魚食の専門家を育てるということに限らず、日常的に魚を調理して食卓に並べて食す大人を育成するということです。今とこれからの魚食普及と次世代育成に必要なことは「継続」です。中学・高校と社会の入り口に立つそのときまで、継続的に魚食に触れられる環境の整備が大切です。

私が教えている調理師専門学校では、生徒たちが中学生や高校生に魚の調理を教える「10代の若者同士の料理教室」を実施しています。大人は教える側に立つだけではなく、自分の意思で水産科へ進学したり、調理師を目指したりしている若者に、もっと活躍のチャンスを提供しながら次世代を育成していくことが、先々の魚食文化の発展につながると信じています。

浜田 峰子
はまだ・みねこ

食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。

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