魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!

2017年8月11日
Column #005

「知る、考える」
地域活性化の原点

私の仕事のひとつに「食を通じた地域活性化」があります。日本各地の特産品を使った商品の開発やメニューの考案を数多く行っています。商品開発は、業者に外注をしている自治体も多いのですが、私はそれぞれの地元の人が主体になって考え、汗をかいて動くことが長い目で見て地域のために重要で、そのための枠組みを作ったり、アドバイスをしたりするのが私の役目だと考えています。

ですから、漁業者や生産者の方と話し合う機会を作るようにし、「真に地域の特性を生かした商品作りとは?」「地元の人自身が買いたくなる商品とは?」「食べた人が現地に行きたくなる商品とは?」などを徹底的に考える勉強会も開いています。

商品のネーミングやパッケージも自分たちで考えます。郷土の歴史や気候風土を反映させるため、時には地域のお年寄りに来ていただいて、言い伝えや方言を聞き取ります。灯台下暗しとはよく言ったもので郷里のことは知っているようで知らないことが多いのです。

そうしたノウハウを学校法人食糧学院で産学連携推進特任教授として学生たちにも教えています。今は宮崎県の魚介類などの特産品を使った商品の開発の依頼があり、指導をしているところです。学生たちにはその産地の大ファンだと言えるほど現地のことを調べさせています。魚の種類や漁場、豊漁のお祭りなどを知ることで、漁業者の方々の気持ちをできるだけくみ取るようにしています。

最終目標は「現地に行ってみたいと思ってもらえる商品の開発」です。商品の考案にあたっては、「なぜ」「どうして」を徹底的に考えます。A4用紙にびっしりと商品に懸ける思いを書き出してもらい、熟考しながら試作を繰り返すのです。そうすると、現地に行ったことがない学生も、自分の郷里のことのようにおいしさを語り、現地に行きたいと思うようになります。知るほど、考えるほどに思いが強くなる。それが地域活性化のための商品開発の原点だと私は考えます。皆さんは自分の住んでいる地域の良さをどれだけ語れますか? 足元に活性化のヒントがありますよ。

特産品を使った商品開発に取り組む学生

浜田 峰子
はまだ・みねこ

食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。

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